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祭のものぐさもったり手帳

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旅戦の王女 第20話『籠の少年。青空目指して3』

 ?モノケディア歴史書?『闇の現事件』第1章

 一人の魔法使いがいた。
 彼はその強大な魔力によって人から畏怖され、いつも一人で暮らしていた。
 けれども彼は本当はとても心優しい魔法使いであった。
 人の笑顔を見るのが大好きだった。
 自分が魔法を使うと人々はそれを見てとても喜び、魔法使いのことを称えた。
 それが彼にとってとても嬉しいことだった。
 自分の魔法で人々が笑顔になる。
 それは幸せだった。

 しかしそんな幸せは少しずつ狂い始める。

 その頃、世界は近代化への歩みを進めていた。
 機械が発明され、それまで魔法に頼ってきた人々は徐々に機械へと移り始めていった。
 機械は無機質ながらも人の言うことをよく聞き、黙って指示された仕事を行う。
 魔法よりも遥かに確実で正確な機械は人々から重宝され、世界中に劇的に増え始めた。
 そのことに悲しんだのはあの幸せだった魔法使いである。
 「人は心ある魔法よりも、心ない機械を選んだ」
 人を幸せにするのは自分の魔法であると。
 人を幸せにするのは自分の心であると。
 そう信じていた魔法使いの思いは、すべて否定されてしまった。

 やがてこの魔法使いの悲しみや、怒りや、疑いや、嘆きの心は巨大な負の力となって世界を飲み込み始める。

 目に見えない力は魔法使いを中心に広がり続けた。
 その力にあてられた者は魔法使いの心にある悲しみ、怒り、疑い、嘆きを知った。
 けれども理解する間もなく、人々は負の力に飲まれ、疑心暗鬼におそわれた。
 誰も信じられなくなり、些細なことで憎しみ、争いあった。

 『モノケディア王国』はこの事態を深刻に見て、対魔法使いへと乗り出した。
 国中のありとあらゆるジャンルの精鋭達を集め、打開策を考えさせた。
 まずは力自慢の兵士達が直接討伐へと向かった。
 けれども魔法使いの元へたどり着く前に負の力に飲まれ、兵士達の間で仲違いが起き、ついには共倒れとなってしまった。
 次に魔法使いと賢者が集まり、遠くから魔力を魔法使いに向けて放った。
 けれども圧倒的な魔力の差に、まったくの無意味であった。

 しかし魔法使い達は諦めなかった。
 このままでは世界中の人々が負に飲まれて大規模な戦争が起きかねない状況であったからだ。

 そしてついに恐ろしい策を考案する。

 それは『人柱』を立て、それを元に力を増大させて魔法使いを封印するというもの。
 すなわち誰かを犠牲にして封印するというものであった。
 『人柱』には、一人の少年が選ばれた。
 10にも満たない子供で、魔法使いとして将来を有望視されていた。
 すでに原型をとどめず、負の力としてだけの存在となっていた魔法使いを、『モノケディア王国』の魔法使いと賢者達は封印することが出来た。
 少年を『人柱』にすることで。

 こうして世界は大きな争いを未然に防ぐことができた。
 それまで人々の心の中にあった、悲しみ、怒り、疑い、嘆きの心は抑えられ、人々は理性や平穏の心を取り戻せた。

 ―しかし人の負の心がもたらす恐ろしさ、そして魔法使いを封印したときに使われた『人柱』の残酷さから、『地獄の闇が現実となった事件』と称され、後に『闇の現(うつつ)事件』といわれるようになった。


   * * *



ということでモノケディア王国と、魔法使いの話です。
これが一応、今回の冒険のベースになりますので、慎重に行こうかと思います。
ちなみに第1章と言っているからには、もちろん続きもあります。
それはのちほど…

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