祭のものぐさもったり手帳

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旅戦の王女 第51話『籠の少年。青空目指して34』

 「…本当によろしいのですか?」
 トランクに荷物を詰め込んでいるコロナの隣で、大柄の肩をどことなくしゅんとさせながらゴーファンが問いかけてきた。
 「もう少し休んでいかれても…それに…」
 ちらりと動いた視線の先には、あの緑色のポニーテールがやけに楽しそうに、大きな荷物を抱えてこっちに向かってきていた。
 「…腕の立つ者ならいくらでも…」
 なぜファルルを…と言いたそうに、ゴーファンはその体躯に見合わない心許ない表情を浮かべた。確かにこの訓練施設にはもっと腕の立ち、旅や戦に心得のある兵士もいるに違いない。しかし、
 「…昨晩の彼には、大変感謝していますから…」
 指示を待つ兵士の中、ファルルは一番に動いていた。そのおかげでトーンは助かった。彼は経験よりも強い、戦うという本能が宿っているように思う。
 コロナが折れないとわかったのか、ゴーファンはそうですか…と呟く。
 「ういしょっ…!」
 二人が話している間、ファルルは持ってきた荷物をトランクに強引に(というかそれ以上やると車が壊れる!)詰め込んでいた。ばたんと無理矢理トランクを閉め、にかっと笑ってコロナを見る。
 「コロナっ!準備できたぞ!」
 今すぐにでも旅に出たいっ!というわくわく感がその一言からとても伝わってくる。
 本来ならその期待に応えてあげようと思うところなのだが、コロナはファルルの姿を見て固まる。
 「…お前、その服…」
 「え?」
 きょとんとファルルの頭上にハテナマークが浮かんだ。
 ファルルが着ているのは訓練兵の服ではなく、髪よりも深い緑色のヘソだしの服。二の腕まで覆う薄手のグローブに、ロングブーツ。
 「………」
 唖然とする。…なんというか、とても旅に出るという格好ではない気がした。それ以前に風邪を引くぞ、とコロナは突っ込みを入れたくなった。が、身軽の動きを得意とするファルルにはこれくらいの軽装が逆にいいのかもしれない。
 「…俺の服がなんだよ?」
 自問自答しているコロナに不信感を覚えたファルルが、唇を尖らせながらこちらをじとりと見る。その様子にコロナは途端にバツが悪くなり、「いや…その…」と曖昧な唸りに近い声を上げる。
 「なんだよぉ??」
 ファルルはむすっと頬を膨らませる。なんとなく気まずい雰囲気に、コロナは逃げるように視線を巡らせる。
 「……トーンは…?」
 あのオーバーオール姿がどこにもなく、コロナはきょろきょろと首を動かす。ファルルも「あれー?さっきいたような…」と言いながら同じように首をきょろきょろとさせた。
 「…まさか…」
 またか!?
 ―訓練施設到着後、早々に迷子になったあのトラブルメイカー王女め…!今度は一体何を…!
 頭を抱え、眉間に皺を寄せる。あの無邪気な笑顔がより一層憎らしい。
 どこに行ってしまったのだろうかと思考を巡らせると、意外なところから答えが降ってきた。
 「…連れの子でしたら、今武器庫にいますよ?」
 「は?」
 コロナは思わず間の抜けた声を出して答えの主、ゴーファンを見上げた。
 「…武器…庫?」
 またどこか探索にでかけたとか、迷子になったとかそういうことを考えていたコロナは、ぽかんと、ただ言われた言葉を復唱する。なんでそんな場所に王女が?
 「なんでも自分専用の武器が欲しいとか…今、部下の者が案内していますよ」
 「はぁ!?」
 自分専用の武器?
 その言葉を聞いた途端、嫌な予感がコロナの頭を過ぎった。
 (まさかあの王女…)
 コロナはゴーファンから武器庫の場所を聞き、急ぎ足で武器庫へと向かった。



* * *



忘れられていますが、気持ち更新です。
文字をつむぐのって、本当に難しいですよね…旅戦の王女を更新する度にいつもそう思います。
滑らかに文字が打てる人が羨ましいです。
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