祭のものぐさもったり手帳

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旅戦の王女 第53話『籠の少年。青空目指して36』

 「だからどうしてハンマーなんて…」
 「だって気に入ったんだもん!」
 「いや、そうではなくて…」
 微妙に的の外れた、なんとも聞いていて煮え切らないキャッチボールが繰り返される。いい加減疲れてきてコロナがはぁと深いため息をついたところで、
 「おーいっ!」
 緑のポニーテールをなびかせ、車のところにいたハズのファルルがこちらへ向かって走ってきた。ある意味いいタイミングで現れたファルルに、コロナとトーンは話を中断して振り返る。
 ファルルはたったっと軽い歩調で二人の近くまでやってくる。着いた途端、
 「どうしたんだよ?待っても待ってもトーンは来ないし、様子見に行ったコロナは帰ってこないし、手持ち無沙汰になった隊長からはなんか説教食らうし…で、逃げて来ちゃった」
 ついさっきまで走っていたとは思えないほど、饒舌に言葉をまくしたてあげた。
 そして、にゃはは、とまるで悪戯したばかりの猫のように、頭をかきながらファルルは笑った。
 「…あぁ…そうか…」
 トーンと押し問答したりなんだりしているうちにだいぶ待たせてしまったらしいことに気づき、コロナはおもむろに袖に入れていた時計を見た。
 「………」
 ―どうやら、“ファルルにとっては”、かなり長い時間だったらしい。

 「ねぇ、ファルル!見て見て!」
 トーンは二人の間に無理矢理入り、持っているハンマーを高々と掲げ上げ、えへへと嬉しそうに自慢し始めた。
 「お!すげー!どうしたんだよ、そのハンマー!」
 戦闘の大好きなファルルは見事にトーンの振った話題に食いつき、漆黒の瞳をキラキラと輝かせながら見入る。ファルルの食いつきっぷりに、トーンも嬉しそうにニコニコと笑顔になる。
 「あのね!これ武器庫で見つけて気に入ってね、それでもらったんだよっ!」 
 あれは『もらった』のではなく、『強奪した』と言うのです。と、心の中で突っ込んでおく。
 しかし、武器自慢に花が咲いているトーンとファルルにわざわざ水を差すつもりもないので、コロナは二人の会話をなんとなく聞きながら傍観していた。
 きゃいきゃいと年相応の子供らしく会話する二人を、微笑ましく思いながら(同い年なんだよな…)ぼんやりと眺めている。
 「…やっぱり、僕も戦わなきゃいけないなって思って」
 ふと、トーンの一言が聴覚に引っかかり、コロナはぼんやりとした意識を起こす。
 「え?何で?」
 ファルルもきょとんとした様子で聞き返す。
 「昨日のこと、やっぱり僕、強くなって戦わなきゃいけないなって思ったんだ」
 わずかだが、トーンのハンマーの柄を持つ手が強張る。
 「…だから、ちゃんと使える武器がほしいなって」
 いつもと違う声色。少し調子を抑えた言葉の裏側に、何か、とても深いものを感じた。
 「そっか…だよな。あんなでっかいのとか、旅していたらまた出くわすかもしれないし…強くなっておいて、損はないよな!」
 「うん!」
 ファルルの言葉に、トーンはいつも通りのにっこりとした笑顔で答えた。
 「………」
 コロナは明確な違和感を感じていた。
 ファルルはトーンの台詞から、昨日の出来事は『ゴーレムの襲撃』であると考えたらしい。しかし、トーンが一瞬見せた感情のブレを、コロナは前に一度見ていた。
 「……闇司祭…」
 あのオッドアイの瞳が、底知れぬ魔力と虚無が脳裏に過ぎる。
 考えたくはないが、しかし、今回の旅の本当の目的を果たすためには―今度こそ、戦わなければならない。
 ―そのことを、トーンはどこかで感じているのかもしれない。
 内に秘めた静かな決意を、垣間見た気がした。




* * *




す、すみませんでした…;
ということで武器入手です;今度こそ旅立ちです;
本当にすんませんでした;;;
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