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祭のものぐさもったり手帳

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旅戦の王女 第66話『盗賊を拾った日12』

久遠の村に近づくに連れ、物々しい雰囲気が漂ってきた。村自体は静かなのだが、殺気のような、非日常を思わせる空気が立ち込めている。
 ハルを先頭に、ファルル、トーン、コロナと続いていく。村の入り口まで来ると、ハルはシッと人差し指をさし、民家の裏へと隠れた。三人もそれに習い、息を潜める。
 「…まだうろうろしてますねぇい…」
 顔を少しだけ出し、ハルが苦々しく舌打ちをした。見ると通りを歩くいかにも盗賊風の男たちが一人、二人、三人…。どうやら見張り番らしく、辺りをきょろきょろ見渡しながら歩いている。手には幅の広い大きなナイフを持っていた。
 「見つかったら大変だな」
 ファルルが声を抑えて聞いてきた。ハルはこくりと頷き、盗賊たちの動きを観察する。
 荒っぽい犯行から、てっきり頭の方はそうでないかと思ったのだが、意外にもこの盗賊たちの動きは計算されていて隙がない。死角がないよう等間隔で回っており、どの通りを通っても恐らく見つかるだろう。誰か一人を攻撃しようと思っても、残り二人が異変に気付くように、盗賊同士のコンタクトも出来ているようだった。
 「…難しそうだね…」
 トーンが不安げに呟く。
 しばらく考えたハルは、
 「…こっちでさァ」
 そう言い、三人を連れ、民家の裏を通っていった。
 「…久遠の泉とは反対方向じゃないか?」
 コロナの問いかけに、ハルは黙って答える。
 しばらく歩くと比較的大きな建物の裏についた。ハルは再び息を潜め、そっと窓の中を伺い見る。コロナが横から覗くと、広い食堂のような場所に、おばあさんが椅子に座って項垂れていた。
 ハルは小さな小石を手に取り、窓をぱしりと叩いた。
 「おいっ」
 突然音を出したのでコロナが思わず静止の声を上げる。盗賊に見つかったらどうするんだ、と抗議すると、
 「…まぁ!」
 中にいたおばあさんが音に気付いて立ち上がり、こちらを見た。ハルが軽く手を振ると、おばあさんはひょこひょこと足を引きずるようにして近寄ってきた。窓が静かに開けられる。
 「まぁまぁ…あなた無事だったのねぇ…」
 おばあさんはハルの顔を見るなり、安堵したように胸を撫で下ろした。そして手招きをし、
 「…早くお入り。外は危険よ。…ほら」
 四人を中へと迎えいれた。


 中は食堂とカウンター、それから個室へ繋がる扉がいくつか。どうやらハルが泊まった宿屋とはここのことらしかった。おかみさんであるおばあさんも話しに聞いていた通り目が悪いらしく、ハルに対してやたらと顔を近づけ、確認するように頬をぺたぺた触っていた。
 「まぁまぁまぁ…よかった…本当に無事だったのねぇ」
 再び安堵のため息を漏らす。
 「あんまり無事とは言い難かったですがねぇい…おかみさんは?」
 「私も大丈夫よ」
 「その足は?」
 ハルがちらりと目線を足元にやると、おかみさんは首を振り、
 「…最初のときに少しひねっただけよ。なんともない」
 安心させるようにおかみさんはハルの手を握った。
 「いいのよ。あなたが無事ならそれでいいの」
 ひどく愛おしい優しい眼差しを向けられ、ハルは照れたように顔を背けた。
 「…しかしどうする?」
 コロナが誰にでもなく問いかけた。
 「ここから泉に向かう通りに出られないかな?」
 ファルルはそう答え、床を這うように移動し、通り側の窓をそうっと覗き込んだ。そしてひゃっと首をすくめ、その場にしゃがみ込む。
 「…い、いるいるっ!盗賊がすぐそこにっ」
 慌てた様子のファルルに続き、コロナも同じように窓の側まで這って移動し、窓を覗き込む。
 先ほど町の入り口で見かけた盗賊の他にもまだ仲間がいたらしく、数が更に増えていた。まるで自分たちの庭であるかのように、大きな顔して通りを歩いている。
 「参ったな…」
 苦々しく呟く。その様子を見ていたトーンはうぅんと思案するように唸った。
 「…さっきみたいに家の裏側を通りながら、泉まで行けないかな?」
 「それは難しいわねぇ…」
 トーンの提案に、おかみさんが口を挟む。
 「どうして?」
 「泉はこの村の中心にあるのよ。…泉を丸く囲むように村が出来たからねぇ…」
 そう言っておかみさんは旅行者用の地図を取り出し、広げて見せた。入ったときには気付かなかったが、久遠の村は丸いドーナツ型をしており、その中心部分に久遠の泉があった。
 「久遠の泉の周りは広場になっていて、普段は音楽祭や市場が開かれたりするのよ」
 ―ぜひその音楽祭や市場が開かれているときに来たかった。というのは愚考だった。つまりそれだけのイベントが開けるくらい、久遠の泉の周りは広く開けているのだ。
 「…隠れて潜入、って訳にゃあ行かねぇってことですねぇい…」
 ハルは地図を見ながら眉をひそめた。


   * * *


さー、どう進入しようかな…
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